町の薬局で買える片頭痛に効く薬があります。

片頭痛の発作が始まると、主に頭の片側がズキンズキンと脈打つように痛み、場合によっては強い吐き気や嘔吐を伴うことがあります。

このような片頭痛の発作が起きた場合には、できるだけ早く治すために、薬物療法が強く推奨されています(薬物療法は、慢性頭痛の診療ガイドラインで行うように強く勧められるグレードAとされています)。

ただ、頭痛の程度によって必要な薬物療法が異なっていますので、これから詳しく説明していきます。

片頭痛の発作が起こった場合に医学的にエビデンス(根拠)が認められている効果的な薬として、以下の5つがあります。

  1. アセトアミノフェン
  2. 非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)(インドメタシン、ナプロキセン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン)
  3. エルゴタミン
  4. トリプタン
  5. 制吐薬

一般的にアセトアミノフェンなどの鎮痛消炎薬よりも非ステロイド系鎮痛消炎薬のほうが効果は高いです。他方で、眠気が出たり、胃腸障害を起こしやすいというデメリットがあります。

この中で市販薬として販売されていて、薬局ですぐに買うことができるものは1のアセトアミノフェンと2の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)です。

アセトアミノフェンが含まれている市販薬としては、バファリンプレミアムがあります。


非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)で、アスピリンが含まれている一般の薬局で買える大衆薬(市販薬)としては、バイエルアスピリン、バファリンなどがあります。

 

バファリンよりも1錠あたりに含まれているアスピリンの量が多いので、効果は高い。ただし、胃腸への負担が大きい。

 

アスピリンの量が比較的少ないので、胃腸や体への負担は少ない。頭痛持ちの人は、よく服用するので、80錠タイプがお買い得ですね。

片頭痛の中でも、それほど痛みが強くない軽度の頭痛の場合には、アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)のアスピリンなどが含まれている消炎鎮痛薬が効果的です。

バファリンの他にも、ロキソニン、イブ、ナロンエース、ノーシンなどがありますね。

同じ商品名のバファリンでも、種類が違うことで、アセトアミノフェンが入ったものやアスピリンが入ったものなど成分が異なる事がありますので、市販薬を買うときには、商品名だけではなく、化学名を確認することが必要です。

それほど痛まない軽度の片頭痛の場合は、薬局で買える市販薬でもある程度の効果が期待できますので、軽度の場合には積極的に服用することで、痛みを和らげることができます。

これらの鎮痛消炎薬が片頭痛にある程度効くのは、脳や脊髄の中枢神経の働きを抑えることによって、痛みの感じ方を鈍らせたり、血管の拡張によって生じた炎症を抑える作用があるからです。

ただ、鎮痛消炎剤には拡張した血管を収縮させる作用はないので、根本的な治療になるわけではありません

したがって、鎮痛消炎薬を服用して、100の痛みが80とか70になれば十分効果があったと考えて良いでしょう。

痛みの程度が軽度で、鎮痛消炎薬を服用して我慢できるくらいの痛みになる人はそれで十分です。

20歳以下の人や高齢者は、頭痛の程度が比較的軽い事が多いので、鎮痛消炎薬だけですませられることが多いです。

鎮痛消炎薬を服用することの主な副作用は胃腸障害です。薬を服用しても特に症状の出ない人はそのままでもいいのですが、胃の痛みなどを感じる人は、胃薬を一緒に飲んだり、別の種類の鎮痛消炎薬に変える必要があります。

特にアスピリンで有名ですが、鎮痛消炎薬には脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性疾患を予防する作用があります。高齢者にとっては、鎮痛消炎薬は、後述するエルゴタミンやトリプタンのように虚血性疾患を発症する可能性を高める薬よりも有益です。

次に、中度から強度の痛みのある偏頭痛の場合ですが、この場合には残念ながらバファリンやロキソニンなどの市販薬の消炎鎮痛剤はほとんど効果がありません

中度から強度の痛みのある片頭痛の場合には、これから説明する別の薬物療法が必要となります。

中度から強度の痛みの場合

痛みの程度が強く、日常生活や仕事などに支障がでる程の痛みがある場合には、アスピリンではほとんど効果が得られませんので別の薬を使う必要があります。

後述するトリプタンが発売されるまでの間、片頭痛治療の中心的な薬剤はエルゴタミン製剤でした。

エルゴタミンは麦角アルカロイドの一種で、ライ麦の穂に付着した麦角菌が作り出す物質です。中毒を起こすことがあるために、16世紀頃には恐れられていたのですが、現在では、薬用として利用されています。

エルゴタミンは、鎮痛消炎剤と異なり、血管を収縮させる作用があり、片頭痛の原因に根本的に作用するため、片頭痛治療に広く用いられていました。

少量では効果が弱いために、同じく血管を収縮させる作用のあるカフェインと合剤にして、製剤として使われています。

エルゴタミン製剤は、以前カフェルゴットという商品名で販売されていましたが、トリプタンの発売により必要性が低下したことから国内では2008年に販売中止になりました。

現在はカフェルゴットに代わるものとして、クリアミンという商品名の薬が販売されています。

エルゴタミンは、トリプタンが販売されるようになってからは、あまり使われなくなりましたがトリプタンには無い長所もあります。

トリプタンよりも早い段階で服用できたり、効果の持続時間がトリプタンよりも長いです。

また、服用日数が多くなってもトリプタンのように効かなくなってくることが少ないです。薬がトリプタンに比べて安いということも大きなメリットの1つです。

このようにエルゴタミンにもメリットがありますし、エルゴタミンは効くけどトリプタンは効かないという人もいますので、エルゴタミン(商品名クリアミン)は今でも有効な薬です。

次に、片頭痛の特効薬として発売されているトリプタン系薬剤です。鎮痛消炎剤で痛みが治まらず、エルゴタミンも効かないという人はトリプタン系の薬剤を病院で医師に処方してもらうことをおすすめします。

というよりも、現在、ほとんどの病院でトリプタン系薬剤しか使っていません。

痛みの強い片頭痛の場合、トリプタン系の薬剤が非常に効果的です。私自身も子供の頃から重い片頭痛を患っていますが、トリプタン系の薬は、吐き気がして激痛の場合でも、トリプタンを服用すれば、本当に痛みが和らぎます。

トリプタン系薬剤の使用は、慢性頭痛の診療ガイドラインで、行うように強く勧められるグレードAとされていますが、残念ながら市販されていませんので、薬局で買うことができません。

病院で診察を受けて処方してもらう必要があります。

ただ、トリプタン系の薬は本当に中度から強度の強烈に痛い片頭痛にも極めて効果があるので、ぜひ一度頭痛専門医で診察を受けることを強くおすすめします。

市販されているもので、片頭痛が予防できるものとしては、薬物療法とは少し違いますが、サプリメントを飲むことです。

慢性頭痛の診療ガイドラインで推奨グレードB(行うよう勧められる)とされている効果の認められているものは、マグネシウム、ビタミンB2、フィーバーフュー(ナツシロギク)です。

1つ1つのサプリメントを個別に飲むのは大変ですが、こちらのサプリメントは、それらの成分が全て含まれているので片頭痛の予防におすすめです。

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サプリメントを使った片頭痛の予防は、薬物両方による急性期治療のように、すぐに効果の出るものではありませんが、長く続けることで、頭痛の発作が起こりにくい体質に少しずつ変えていくことができます。

長く予防を続けることで、頭痛の発生頻度と、痛みの程度を抑えることができるので、地道な努力が必要になりますが予防もとても大切です。

片頭痛の予防に効果のあるサプリメントについてはこちらのページをご覧下さい。

なお、片頭痛の痛みが起きた時に、どの薬物療法を選択するかについては、2つの考え方があります。

1つ目は、step-careで、最初は、安全性が高く安価な薬剤を使い、治療の効果がみられなかった場合にトリプタンなどのより効果な薬物療法を選択するという方法です。

2つ目は、stratified-careで、片頭痛の重症度に応じて治療薬を選択する方法です。

片頭痛の場合、stratified-careの方が有効だと考えられていますので、自分の頭痛の重さに合わせて積極的に薬物を使って治療することが勧められています